応用編

●第2回目 応用編「ニュース番組はどう「現実」を構成するか」(9月8日 14時〜16時)

 ・前回の振り返り

 ・ニュース番組はどう「現実」を構成するか:東京五輪翌日夜のニュース番組から

 最初は前回の振り返りです。8つの基本概念で特に重要な基本概念1は「メディアはすべて構成されている」です。これは、事実をそのままに映し出しているように見えるニュースやドキュメンタリーも含めてメディアは、人が作ったものであるということです。ニュース番組も登場人物、その発言、背景、データなどが巧みに組み合わせています。したがって、メディアは現実を映し出す鏡ではありません。分析する際は、マイノリティ市民の側に身を置いて、どのような要素が切り取られて提示されているのか、どのような要素が欠落しているのかを注意深く見ていく必要があります。

 開催そのものが疑問視された東京五輪、開催直前まで差別発言などで関係者の辞任が相次ぎました。開催後は予想されていた新型コロナの感染爆発による医療の逼迫、ニュース番組が東京五輪をどう振り返るのかをNHK「ニュースウオッチ9」(21.8.9)を分析して考えました。1回目同様、映像を見ながら記入シートを使ってメモを作り、グループで話し合います。こんな意見が出ました。

・五輪開催に賛成の人、反対の人すべてに配慮しながら構成されている。そのため福島の問題なども底の浅い捉え方になっている。世界の人々が汚染水放出に怒っている。結局、開催が「良きもの」として見えるような番組構成は、開会式から閉会式まで華やかな五輪中継の映像が場面の切り替わりごとに多用されているためだ。

・練りに練って構成されている。テロップも強調したいところは白抜きに、五輪への批判的な意見は袋文字で画面に溶け込んであまり読めないようになっている。

・前半の五輪開催への反応の部分は「多様性」がキーワードだったが、夜間中学校を撮影して多様な国の学生が五輪中継を見ている場を映し出していたが、夜間中学校を映し出せば多様な生徒がいるに決まっている。それを五輪の多様性と結びつけるのはどうかと思った。また、アメリカの国連大使のインタビューを取り上げているが、国連大使と紹介しながら背後のアメリカ国旗やバイデン大統領の映像に違和感をもった。

・とてもむずかしかったけれど、ニュースを見る視点が変わりそう。日常的に問題意識を持とうと思った。

「メモはあまり取れなかったがグループの話し合いで気づくことがあった」「いつも見るCMやニュースを違った視点で見る分析をしてグループで他の人の意見を聞けたのは有意義」という声もありました。お互いに学び合い、気づきを深める学び方によって日常のメディアを見る視点を変えるきっかけになる講座でした。

<参考文献>

・鈴木みどり編『最新 Study Guide入門編』(リベルタ出版、2013年)

 

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