主戦場
ずっと観に行きたかった「主戦場」をようやく観に行くことができました。
冒頭、2015年の日韓合意の映像が流れる。 日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。無知な私は「不可逆的」の意味がわからず頭を悩ませた。
韓国の外相(であろう人物)が、結果の報告をしに元慰安婦のハルモニを訪ねるが、「何をしにきた!!!順番がおかしいやろ!まずは私と話をせなあかんのんちゃうんか!どうせ年寄りから理解できひんやろ思って、そんな態度取ってたんちゃうんか!私はこれで二回も殺されたわ!ふざけるな!」こんなゲスい日本語訳ではないが、当事者抜きでの話し合いに激高するハルモニ。
当たり前の話だ。
当事者の話をするのに、なぜ当事者なしで話を進める。そんなおかしい話があっていいはずがない。まさに今の協会のありようを見せられているようにも思った。
映画はそれぞれの立場の人物が登場する。なでしこアクションの山本、杉田水脈、櫻井よしこ、ケント・ギルバート、トニー・マラーノ(テキサス親父というユーチューバーのアメリカ人男性)、そして吉見義明、戸塚悦郎、韓国挺身隊問題対策協議会、アクティブ・ミュージアム 女たちの戦争と平和資料館、元慰安婦の娘、パク・ユハ、中野晃一、植村隆などなど。本当にたくさんの人が出てきて、相当の時間を割いて取材をしたとみえる。
「少女像をおいたせいでアメリカに住む日本人が韓国人にいじめられている」
しかし彼女は「おばあちゃん(慰安婦)たち、勝手に言ってるだけでしょ?証拠も証言もないし」と言いながら、自身も証拠も証言もない話を国会で堂々と言っている。
杉田氏に限らず、歴史修正主義者の発言の薄っぺらさにびっくりする。美しい国を求めるのであれば、もっともっと謙虚に生きなければいけない。居直るのではなく、なかったことにするのではなく、歴史を見つめしっかり反省することこそが、彼がいう「美しい国」ではないのだろうか。日本だけが優れていて、アジア諸国が劣っているという意識があるからだと感じた。
首相が靖国を参拝するのは、ドイツの首相がヒットラーの墓参りにいくようなもん、アメリカの報告書に慰安婦問題がなかったから慰安婦問題はなかったというのは、キッチンで靴下を探すようなもんだという、元ナショナリストのコメントが痛快だった。
それにしても右翼団体の名称のわかりにくさよ。一見、どういう趣旨の団体なのかわからなくなるような名称が非常に多い。きわめつけは加瀬英明という男性の認識のひどさ。「日本は戦争に勝った」そうだ。(彼の発言をディスる意味合いなのだろう、VTRが2回流れて笑った)病んでるとしか思えない。
しかし、そういった人たちを支持する流れや風潮があり、それが政治を後押ししているのが現実だ。事実をひた隠しにする教科書が次々と使われていく。その現実に恐ろしさを感じるが、なんとしてでも抗わなければいけない。危機感と不安に苛まれたりもしたが、まだまだ踏ん張らなければいけない。