ハンセン病問題のシンポジウム

土曜日は阿倍野区民センターで開催されたハンセン病問題のシンポジウムに長女(7歳)を連れて参加しました。

登壇されたのは尼崎の黄光男さん、長年ハンセン病問題に取り組んでらっしゃる福岡安則さん、世人権豊中記念集会にお越しくださった山城清重さん、そして衝立越しにお話されたTさんと弁護士の大槻倫子さんでした。

Tさんのお話は初めてでしたが、お父さんがハンセン病を発症したことで、近所から白い目で見られ、学校でも友達から石を投げられいじめられ、教師にも階段から突き落とされ、幼い3歳の弟も保育所で保育士に無視され、一度弟は一人で40分かかる道のりを家まで歩いて帰ってきたといいます。

それでも保育士たちは探すこともせず、心配もせず無視するだけだったと涙ながらに語ってらしたのが、とても胸が痛みました。

療養所内で重労働を担当することで得たお金を、お父さんはお隣の人さんに送っていたのに、お隣さんはTさんの母親にそのお金を渡さず、自分のものにしていたといいます。これはハンセン病家族云々をさしおいて、ただただ人間失格の行為としか思えません。

ハンセン病は皮膚や末梢神経が侵される病ですが、ハンセン病そのものが死に至る病ではありません。それなのになぜそれほどまでに忌み嫌われてしまったのか。ハンセン病に対する正しい知識が、医師もよく知らなかったし、罹患した人もそうでない人も知らなかったのでしょう。なかにはそれまでの行いが悪かったせいだという説を唱える宗教もありました。

よくわからないけど怖い病だというだけで、発症した人を忌避し、差別をする。当時は無らい県運動を行政が実施して、それに市民も加担していました。当時、豊中市でも保健所に「あの人はハンセン病ではないか」と通報するハガキが残されていました。

黄さんが講演のなかでお話されていましたが、当時、家に消毒液をぶちまけた人、無らい県運動を推進した行政の人、いじめや嫌がらせに加担した近所の人、今、何を思っているのでしょう。私もそういう行動を取った人の話が聞きたいです。名乗り出ることはないと思いますが。

自分とは違うものを遠ざけようとするのが人間の心理にあるするのならば、その行動が正しくないということを知らなければいけない。

それが啓発であり、教育です。

部落差別、障害者差別、外国人差別。今なおさまざまな人権問題の課題が残っています。

ハンセン病問題は、らい予防法が廃止されても、残された家族のなかには、自分の身内(親やきょうだい)にハンセン病回復者がいたことを今も隠している人がいます。自分の夫や義理の両親、自分の子どもたちにもずっとずっとウソをつき続けている人もいます。

ハンセン病に対する差別があるから隠さざるを得ない状況というのを、私たちがしっかり認識しなければいけないし、家族訴訟の判決にも書かれているように、各自治体がしっかりと教育、啓発に取り組まなければいけません。

本買いました。

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