【書評】保健室のアン・ウニョン先生
遅い夏休みをもらい、なんとか2冊は読破できました。そのうちの一冊が「保健室のアン・ウニョン先生」です。
大ベストセラーとなった「82年生まれ、キム・ジヨン」の原作を訳された斎藤真理子さんがこちらの翻訳されていました。
幼いころから、人間以外のものが見える保健教諭のウニョンが、おもちゃの剣とBB弾で高校内をうろつく霊や、思春期真っただ中の子どもたちが張り巡らすエロい想像物をぶった切っていく。
もともとこの高校は池だった。恋人に振られた若者たちが、この池に身を投じていったことがきっかけで、死体が捨てられる場所となった。
学校の創立者は漢文の先生ウンピョのおじいさんで、おじいさんはそれを知っていたのか、池を埋め立て、学校を守り抜くように孫のウンピョに託した。
ウニョンのような特別な力はないが、学校を守るためにウンピョもウニョンと共に奮闘する。
ファンタジーの要素もありながら、韓国内の教育事情にも触れ、子どもたちが置かれている様子、人には見えないものが見えることで、友達の輪から外された幼少期など、いろいろと考えさせられる部分も多かった。
ストーリーは10話とわかれており、ウニョンとウンピョ以外の登場人物はその都度変わる。
個人的にはエピローグに当たる「突風の中で二人は抱き合ってたね」が一番面白く読めた。
巻き上がる竜巻、舞い上がる龍が見事に頭に浮かんだ。その描写にもウニョンとウンピョのその先にもドキドキした。
ドラマも映画も小説も、やはり韓国の文学作品の面白さはあなどれない。
「82年生まれ、キム・ジヨン」が映画されて日本では10月7日からロードショーだという(前売り券買いました)。
「保健室のアン・ウニョン先生」もドラマ化が決定したそうだが、こちらも楽しみです。