はじめは、本の表紙とタイトルが気になって読みはじめました。
本書は著者が様々な社会的課題を抱えた人と出会い、その体験から、伝えたいことを書かれています。
その出会いは様々です。クレジットカードを作ったことがきっかけから自己破産になってしまった若者、聴覚障害者を、「聞こえる」「聞こえない」で線引きしていた自分に気づかされ、ネットカフェで出産した直後に子どもを殺害してしまった母親の裁判との出会いでは、母親が虐待を受けていた話も自分と重なり、中学生の時の知人が性暴力を受けていたことなどを、改めて、振り返りながら、自分の問題ととらえた内容になっています。
著者は、これから本書と出会った人が、同じように感じてもらえたらと願って、本書を書くことで、これまでかかわってくれた方々への感謝や両親への思いも綴られています。
本書を読んで、著者もいろんな人との出会いで、自分を振り返る機会になったと書いていますが、私自身もはじめは被差別部落の人との出会いから、様々な差別を受けてきた人と出会うきっかけをもらいました。その中で、自分自身が人の見方や生き方を振り返るきっかけをもらい、自分自身が励まされ、支えられてきたように思います。そういう意味では著者と自分が重なる部分がありました。
「暴力や排除を許さないことが小さくても、力強いうねりになるかもしれない」という部分は、自分がいろんなことで行き詰ったときに思い出したい言葉だと思いました。
みなさんにも、是非出会ってもらいたい本です。