青い炎
私は
よく焚火をした
冬 風邪をひいたときなど
どてらを着て
田舎のうす暗い
いくつも焚口のある
大きな竈の前で
何時間も焚火をして暖をとった
ある日
枯れた竹を燃やしてみた
竹はスースーッと
かすかな息を吐きながら
とても勢いよく燃えた
青い炎が
生きもののように躍っていた
あたりいちめんに
かぐわしい竹の匂いがみちた
咽がかわくと熱い番茶を何杯ものんだ
やがて
背中がじわーっと汗ばんで
とても気分よくなってくる
そんな時 私はよく本を読んだ
ゴーリキーの「どん底」も
犀星の「性に眼覚める頃」も
そうして読み終えた
十六歳の冬であった
青い炎が燃えていた