「反うわさ戦略」を学ぶ

1月22日、とよなか国際交流センターを会場に「反うわさ戦略を学ぶ」セミナー(国際交流協会ネットワークおおさか主催)がおこなわれた。「反うわさ戦略」とは、偏見や否定的なステレオタイプ(固定観念)にもとづく「うわさ」を減らしながら誰もが安心して暮らせる社会をつくっていくための取り組みである。2000年代に入って海外からの移民が急激に増えたスペインのバルセロナやビルバオで、移民に対する否定的なうわさを打ち消すためにスタートしたそうだ。「うわさ」とは、不確かな情報が人から人へと伝わったもので、差別や偏見、排除につながることもある。それに対して「反うわさ」は、「火の用心」のようなもので、直接的なヘイト(放火)には無力な部分もあるが、社会の中で差別や排除を許さない雰囲気をつくっていく効果がある。

セミナーには、豊中、大阪、箕面、吹田、池田、富田林などから国流関係者やESDとよなかの関係者が約28人参加し、一橋大学大学院の上野貴彦さんによる「反うわさ戦略」についてのオンラインでの解説を聞いた後、箕面市国際交流協会館長の岩城さんの進行でグループワークがおこなわれた。グループワークでは、「○○人は真面目だが●●人は不真面目」「あの人のマナーが悪いのは◎◎人だから」といったものから「見た目で英語が話せると決めつけられた」や「外国人というだけで過剰に気を使われる」など、参加者それぞれが見聞きした噂や偏見、あるいは自身が体験した固定観念にもとづくエピソードとともに、そういったものに対抗していく「反うわさ戦略」の手段として、「行政や当事者、関係団体だけでなく、地域や校区、地元の企業や商店街なども巻き込んでいく」「普段やらないような場所であえて事業する」「影響力のある人物(有名人など)に宣伝してもらう」といったアイディアが出されるなど、難しいテーマではあったものの会場は大きく盛り上がった。セミナーの最後にまとめとしてコリアNGOセンターの郭さんが話してくれた「キムチが日本一売れる漬物になったエピソード」がとても印象的だった。

このセミナーをとおして「反うわさ戦略に関わる明確な答え」が見つかったわけではないし、「それはちょっと…」と思えるような意見もあったが、僕自身としては、参加者からのいろんな意見を聞くことで「反うわさ戦略」の必要性について実感できたし、また、参加者それぞれにとっても自身の偏見や固定観念について気づいたり振り返る機会になったと思う。

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