プリズンサークル

昨日は「プリズン・サークル」を観に行きました。状況が状況なだけに(新型肺炎)、1100円のサービスデーでしたが、お客さんはとても少なかったです。

「島根あさひ社会復帰促進センター」は、官民協働の新しい刑務所。警備や職業訓練などを民間が担い、ドアの施錠や食事の搬送は自動化され、ICタグとCCTVカメラが受刑者を監視する。しかし、真の新しさは、受刑者同士の「対話」をベースに犯罪の原因を探り、更生を促す「TC(Therapeutic Community=回復共同体)」というプログラムを日本で唯一導入している点にある。彼ら向き合うのは犯した罪だけではない。幼い頃に経験した貧困、いじめ、虐待、差別などの記憶。痛み、悲しみ、恥辱や怒りといった感情。そして、それらを表現する言葉を獲得していく(チラシより抜粋)

プリズン・サークルチラシ

撮影許可が降りるまで6年、撮影期間が2年。撮影には刑務官が必ず同行し、受刑者に勝手に話しかけてもいけない。

施設が新しいのか、個室のキレイさに驚いた。病院で搬送されるような配膳車?が音楽を流しながら入ってくる。

TC(受刑者たちは「教育」と呼んでいた)のプログラムな主に「対話」だ。2年間のプログラムを約40名が受ける。

4人の若者が、監督の質問に、罪状や刑期などを教えてくれる。

自分の犯した罪を特に悪いことだと捉えていない受刑者たち。しかしTCのプログラムのなかで、自分自身の生い立ちを振り返るなかで、彼らも虐待やいじめや暴力を受けていたことがわかる。その思い出したくない記憶にフタをするかのように、悪事を繰り返し、ウソをつく。

自分の加害の体験を語るには、まずは自分の被害を振り返る。思い出したくない過去の経験に心が揺れる。

殴られてきた経験、いじめられてきた経験がある彼らは、「自分はこれ以上のことをされてきたから、他の人にこれぐらいのことをしても自分がされたことに比べたらマシだ」という。

罪に対する謝罪の意識がほとんどない彼らが、TCのプログラムを通して、新たな価値観や新たな生き方を考えだす。

切ないシーンも正直多かった。犯罪に対する厳罰化を叫ぶ人も多いが、必要なのは厳罰化ではない。犯罪に走ってしまわない環境づくりだ。

「あなたは大事な存在だよ、大切な存在なんだよ」と育てられていれば、彼らは犯罪を犯さなかったはずだ。信頼できるおとなが近くにいれば、自分の感情を押し殺して生きることもなかったはずだ。

必要なのは厳罰化ではなく、子どもたちが子どもらしく生きられる環境だ。家に自分を殴る人間がおらず、給食だけがその日の食事ではなく、学校で素っ裸にされることなく、先輩に殴られることもなく、教室で飼っているザリガニの水槽の水をぶちまけられたりしない環境だ。

子育てをしていると、忙しさとしんどさから、「抱っこー」「遊んでー」と言われても、「ちょっと待って」と言ってしまう。

自分の日々の行動が、子どもたちの今後の人生のあり方に関わってくると思うと、やはり責任重大であり、しっかり向き合わなければいけないし、「あなたたちは私にとって、とてもとても大事な存在なんだよ」ということを、飽きるぐらい聞かせてあげなければと痛感した。

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